Crowdfunding / Motion Graphics

クラウドファンディングPV制作 ― 180種のカードが舞う、達成率132%のプロジェクト

個人開発のトレーディングカードゲーム「Legend of Stars」のクラウドファンディング事例。動画制作のご依頼から始まり、CAMPFIRE公式キュレーションパートナーとしてプラットフォーム選定から公開スケジュールまで伴走しました。目標200万円に対し支援総額2,652,429円(達成率132%・支援者82名)。この記事では映像の作り方だけでなく、クラウドファンディングをどう設計して走らせたかを書きます。

132%
目標達成率(目標200万円)
¥265万
支援総額
82名
支援者数
01 — 体制

CAMPFIRE公式キュレーションパートナーは、何をする人か。

本件は動画制作のご依頼から始まり、そこにクラウドファンディングの伴走が加わりました。半年前の別件のやりとりで「CAMPFIREと公式パートナー契約を結んでいます」とお伝えしていたのを覚えていただいていて、企画が動き出したタイミングでご相談をいただいた形です。

キュレーションパートナーは、簡単に言えば起案者とCAMPFIREの間に立つ人です。やることは大きく2つ。運営とのやりとりを引き受けることと、蓄積された統計を出してもらい、そこから戦略を立てることです。

運営とのやりとりを代行する

CAMPFIREには審査・ページデザイン・広告・カスタマーサクセスと複数の窓口があります。個人で起案すると、そもそも「誰に何を聞けばいいのか」が分かりません。本件でも、利用できる手数料プランの適用可否、手数料率の設定、リターンの配送を代行してもらえるかどうか、支援金がいつ振り込まれるのか——こうした確認を代わりに通していきました。

支援金が振り込まれるのはいつか

地味ですが、外せないのが入金時期です。CAMPFIREの支援金は、募集終了日に自動で振込申請が行われ、当月末締めで翌月末日に振込となります。本件は8月頭に終了したので、入金は9月末。ヒアリングの段階で伺っていた「資金が手元に必要なのは7月上旬から下旬」より、2ヶ月遅いことになります。

集まったお金が、そのまますぐ製造に回せるわけではありません。支援が集まる時期と、現金が手元に来る時期は別物として設計する必要があります。今回も、募集期間の途中で見込みが立った段階で製造の発注をかけ、その支払い期日を入金日に合わせて調整していきました。

伴走の費用は、プラットフォームによって変わる

キュレーションパートナーは、プロジェクトが成功したときにCAMPFIREから報酬を受け取る仕組みです。そのため、CAMPFIREで実施する場合に限り無償で伴走できます。

ただし、プロジェクトページの制作やサムネイル・バナーなどの制作物は、ご自身で用意していただく形になります。こちらで請け負う場合は別途費用がかかります。

Makuakeなど他のプラットフォームでの伴走も承っていますが、この報酬の仕組みが使えないため有償になります。プラットフォーム選びの段階からご相談いただければ、それぞれの条件を踏まえて一緒に決められます。

プロジェクト作成・サポートの流れ。起案者・FlexiblueDesign・CAMPFIREのどこを誰が担当するかを整理したもの。
プロジェクト作成・サポートの流れ。起案者・FlexiblueDesign・CAMPFIREのどこを誰が担当するかを整理したもの。
02 — 公開までに準備したこと

成功しやすい条件は、公開データではっきりしている。

クラウドファンディングには「なんとなく上手くいく方法」ではなく、数万件の実績から出た傾向値があります。CAMPFIREは成功プロジェクトの傾向を公式に公開しており、感覚で議論する前に、データで潰せるところを先に潰せます。

  • 準備は公開予定の20日前までに始める。
  • 実施期間は30〜45日が成功プロジェクトに多い。
  • 掲載する画像・動画は11枚以上。1枚あたり約200文字が目安。
  • リターンは10個以上、説明文は200文字以上。
  • プロフィール画像を設定すると、到達率が約2倍変わる。
  • 公開1週目で目標額の30%以上が集まると到達率が高い。
  • 活動報告を3回以上投稿すると、集まる金額が約2倍
  • お気に入り登録ユーザーの約40%が支援に回る。

特に効くのが最後の2つです。お気に入り登録は見込み支援者リストそのもので、約40%が実際に支援に回ります。公開前にどれだけ集めておけるかが、初動を決めます。

目標金額はどう決めるか

目標金額は、企画に実際に必要な金額よりもあえて低く設定しています。クラウドファンディングは「達成した」という事実そのものが次の支援を呼ぶので、まず確実に届く数字を置き、足りない分はネクストゴールで積み上げるのが定石だからです。実際、最終的な支援総額は必要額も上回りました。

公開前に関心層を集める——「まもなく公開」

動画が完成し、開始日も決まった時点で、すぐには本公開しませんでした。まず「まもなく公開」(公開予約設定)でプロジェクトを置き、十分に関心を持った人を集めてからスタートしています。

オンラインだけではありません。5月に開催されたゲームマーケットでは、限定公開URLをチラシとして配布しました。オフラインで濃い層に直接リーチできる機会は、公開前にしか使えません。公開初日にゼロから集め始めるのと、すでに関心層を抱えた状態で始めるのとでは、初動がまったく違います。

CAMPFIREの「まもなく公開のプロジェクト」一覧。公開前から100〜200人台のお気に入り登録が積み上がっている(他社プロジェクトはぼかし処理)。
CAMPFIREの「まもなく公開のプロジェクト」一覧。公開前から100〜200人台のお気に入り登録が積み上がっている(他社プロジェクトはぼかし処理)。
03 — PVをどう作ったか

180枚のカードが一斉に並ぶ、圧巻のオープニング。

プロジェクトの熱量とボリュームを瞬時に伝えるため、180種類のカードが宇宙空間に広がり整列していく光景を3DCGでビジュアル化しました。1枚ずつでは伝わらない「圧倒的な物量」を、動きと光で体感してもらう構成です。

クラウドファンディングのページでは、最初の数秒で離脱するかどうかが決まります。そこで映像の冒頭にもっとも強いカット(180枚の一斉整列)を配置し、続けてゲームの世界観・遊び方へと自然に視線を誘導しました。

ストーリーボードは1週間で、動く状態で出す

ご依頼から1週間ほどでストーリーボードを提出しました。ただの絵コンテではなく、実際にUE5で簡単なシーンを組み、動きのついた状態で見ていただいています。

静止画の構成案だけでは、カードが舞う速度も、光の質感も、文字が出るタイミングも伝わりません。完成形にどれだけ近い状態で最初のすり合わせができるかが、この後の手戻りを決めます。時間がなかったからこそ、最初に方向性を合わせることがいちばん大事でした。粗くても早く、しかし精度は高く。この2つは両立できます。

提出したストーリーボード。カットごとに秒数・ナレーション・動画構成を並べ、冒頭7秒からの流れを先に確定させる。
提出したストーリーボード。カットごとに秒数・ナレーション・動画構成を並べ、冒頭7秒からの流れを先に確定させる。

UE5のモーションデザインを選んだ理由

ちょうどUnreal Engine 5に「モーションデザイン」機能が登場したばかりで、カードの動きと文字のアニメーションを一括で制作できました。リアルタイムレンダリングによる納期短縮も狙えます。カード180枚分のモデリングはBlenderで行い、UE5へ持ち込みました。

クラウドファンディングは公開日が先に決まります。間に合わないという選択肢がない制作なので、ツール選定の時点で納期から逆算しました。

カードが舞う遷移カットのテスト。動きとカメラワークを確認するための簡易的な状態で、質感やライティングはこの段階では入れていない。
カードが舞う遷移カットのテスト。動きとカメラワークを確認するための簡易的な状態で、質感やライティングはこの段階では入れていない。

色数の多いカードを、乱雑に見せない

色数の多いカードが乱雑に見えないよう、ライティングとカメラワークで秩序と高級感を演出しました。作品そのものの魅力を損なわず、むしろ底上げするビジュアルを目指しています。

整列したカードの一列だけを光らせ、視線を集める。色数が多くても画面が散らからない。
整列したカードの一列だけを光らせ、視線を集める。色数が多くても画面が散らからない。
PVのオープニング — 180種すべてのカードが一斉に整列する。
PVのオープニング — 180種すべてのカードが一斉に整列する。
04 — 公開後に起きたこと

初動で決まる。そして中弛みは、必ず来る。

6月21日に公開し、初日はカテゴリ3位。公開直後の支援がもっとも厚く、ここで目標のかなりの部分を確保できました。公開前に集めておいた関心層が、そのまま初動になっています。

中弛みは必ず来る

そこから数日で、動きは目に見えて鈍りました。クラウドファンディングは最初と最後に支援が集まりやすく、中盤は必ず中弛みします。これは避けられません。

途中経過を見た運営からは、メイン画像への文言追加、本文構成の見直しと動画の挿入、リターンの追加と並び替え、活動報告の頻度アップといった具体的な改善提案をもらい、一つずつ回して立て直していきました。活動報告は最終的に全16件。中弛みは「来るかもしれない」ではなく「来る前提」で、露出の弾を用意しておく必要があります。

ネクストゴールを設定するタイミング

今回はネクストゴールを設定していません。目標に到達できたのが終了前日で、そこから新しい目標を立てて盛り上げ直す時間が残っていなかったからです。

逆に言えば、早い段階で目標に到達できれば、ネクストゴールを設定して残りの期間でもう一段集客をかけられます。達成は終わりではなく、次の山を作る起点にできる。ここは今回やり切れなかった部分として残っています。

05 — 成果

達成率132%。ただし到達は、終了の前日だった。

募集期間は6月21日から8月3日までの44日間。目標200万円に到達したのは8月2日、43日目でした。44日をフルに使い切って、ようやく届いています。初動は良かった。そこから失速し、走り切ったから届いた——そういう案件です。

目標金額
2,000,000円
支援総額
2,652,429円(達成率132%)

支援者82名、1人あたり約32,300円。リターンは1,000円〜250,000円の全12種。

人数ではなく、単価で勝った

支援総額2,652,429円を支援者82名で割ると、1人あたり約32,300円。リターンは1,000円から250,000円まで全12種で、下は1,000円〜8,500円の手頃な帯が並びます。それでも平均が3万円を超えているということは、高額帯が相当数選ばれているということです。

人数を広く集めるゲームで勝ったわけではありません。来てくれた人が深く支援してくれたから132%に届いた。180種のカード、限定書き下ろしカード3種、スリーブ、プレイマット、BOX——物量と世界観を伝え切ったことが、この単価に直結していると考えています。

BlenderでのBOX制作画面。下に展開図を配置し、中心に完成イメージのボックスを表示している。
BlenderでのBOX制作画面。下に展開図を配置し、中心に完成イメージのボックスを表示している。

クラウドファンディングや新商品のPR動画のご相談は、3DCG・映像制作の料金目安をご確認の上お問い合わせください。

クラウドファンディングページ — 目標200万円に対し支援総額2,652,429円を達成。
クラウドファンディングページ — 目標200万円に対し支援総額2,652,429円を達成。
06 — 教訓

これからクラウドファンディングに挑む人へ。

映像は入口を作る役割で、単体では勝てません。ページ・リターン設計・スケジュールが揃って初めて数字になります。今回の44日間から持ち帰れるものを、順番に並べます。

  1. 公開日から逆算する。準備は公開の20日前までに始め、制作物のツール選定も納期から決める。
  2. 方向性は早く、しかし精度高く決める。動く状態で見せれば、1週間で合意できる。
  3. 公開前に関心層を集める。オンラインだけでなく、オフラインの接点も使う。ここが最重要。
  4. 初動が全て。公開直後にもっとも厚く集まる。ここで稼げないと、44日使っても届かない。
  5. 中弛みは必ず来る。来る前提で、活動報告の弾を用意しておく。
  6. 人数ではなく単価で勝つ設計もある。世界観を伝え切れば、1人が3万円を出してくれる。
  7. 早く達成できれば、ネクストゴールでもう一段伸ばせる。終了前日の達成では、そこまで行けない。
  8. 支援が集まる時期と、現金が手元に来る時期は別物。入金は募集終了の翌々月末になる。
撮影では実現できなかったこと
  • 180種すべてのカードを同一空間に一斉整列させる、現物では不可能な物量の演出。
  • 宇宙空間でカードが浮遊・回転する、自由自在なカメラワーク。
  • 印刷前の段階から、完成後の世界観を先行して映像化。
プロジェクト情報
用途
クラウドファンディング PR動画 + プロジェクト伴走
制作内容
企画構成・3DCG・モーショングラフィックス/CAMPFIRE公式キュレーションパートナーとしての伴走
実施期間
2025年6月21日〜8月3日(44日間)
納品形式
MP4(フルHD)
使用ツール
Unreal Engine 5BlenderAfter EffectsIllustratorPhotoshop

クラウドファンディングを、動画から設計まで。

公開日が決まってからでは、打てる手が限られます。プラットフォーム選びと公開スケジュールの段階からご相談ください。CAMPFIREでの実施なら、公式キュレーションパートナーとして伴走します。

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