3D Print / Anatomical Model

フルカラー3Dプリント用データの制作事例

骨・内臓・血管・神経を色分けした骨盤の解剖模型と、それを載せる透明の台座。お預かりした写真と全体の寸法をもとに、フルカラーの3Dプリンターでそのまま出力できるデータを制作しました。

01 — ご相談

ご相談〜制作開始まで。

骨盤の解剖模型を、フルカラーの3Dプリンターで出力したい、というご相談でした。骨、内臓、血管、神経、靭帯、筋肉を色分けし、台座は透明な素材で出力する想定です。

お見積りの前に確認したのは、出力に使うプリンター、出力する大きさ、色のつけ方、参考にできる資料の4点です。この4点で、データの作り方と作業の量が決まります。

制作は、ご支給いただいた写真と全体の寸法をもとに始めました。作る範囲も最初に決めています。分解できる構造は再現しない、外から見える部分をつくる、台座も含める、の3点です。

色をつける前の、形だけの状態。
色をつける前の、形だけの状態。
02 — 制作の流れ

制作の流れ。

着手から出力用のデータができるまで、約4週間でした。形と色の確認を前半で済ませ、後半を台座と出力のための作業に充てています。

ステップ内容時期
1写真・寸法をお預かりして、骨格と内臓の形をつくる第1〜2週
2初稿のご確認(ブラウザで回して見られる3Dデータ)第3週
3修正を反映して形を確定、出力できるデータに仕上げる第3〜4週
4台座の案をご提示 → ご確認 → 設計第4週
5出力前の検査、出力サービスの仕様に合わせた書き出し第4週
合計約4週間

※ 制作期間は受注状況や形状によって前後します。

03 — モデリング

骨格と内臓のモデリング。

写真だけを頼りに骨の形を一からつくると、どうしても形があいまいになります。そこで骨格(寛骨・仙骨・第5腰椎)は、解剖学の3Dアトラスとして公開されているオープンデータ(Z-Anatomy)を土台にして、模型としての姿勢と形に合わせて調整しました。

内臓、血管、神経、靭帯の膜、筋肉は、写真を見ながら1つずつ制作しています。この段階では、部位ごとに分かれた27個のパーツのままです。分けておくと、あとから「ここだけ太く」といった修正を、ほかの部位に影響させずに入れられます。

※ 骨格の土台には Z-Anatomy(CC BY-SA 4.0)のデータを使用し、形を調整しています。

制作途中の状態。見分けやすいよう、パーツごとに仮の色をつけて表示(左右に分かれる部位は別の色)。
制作途中の状態。見分けやすいよう、パーツごとに仮の色をつけて表示(左右に分かれる部位は別の色)。
04 — 台座

台座の設計。

台座は、最初に描いたスケッチのラフをもとに、3D CADで形を複数つくって比べました。

形の検討

前面のえぐり方、角の処理、側面の傾きを変えた案を並べ、ご確認いただいて1つに決めています。

3D CADでつくった台座の案。
3D CADでつくった台座の案。

骨盤を受ける面

決まった形の上面を、骨盤の底の形に合わせて削りました。模型とのあいだには約0.4mmのすき間を取り、受けの面はなめらかに整えています。出力は透明な素材を想定しています。

完成した台座。左右にドラッグして、受けの形と、透明な素材での見え方を比べられます。
形だけ
透明
完成した台座。左右にドラッグして、受けの形と、透明な素材での見え方を比べられます。
05 — ご確認

3Dデータでのご確認。

確認用には、Webブラウザで開いて自由に回せる3Dデータをお送りしました。専用のソフトは要りません。静止画では見えない裏側や内側まで、ご自身で回して確かめていただけます。下の画像を押すと、同じように回して見られます(表示用に軽くした完成データです)。

初稿のあと、一部の太さの調整、色の追加、台座の受けを深くする修正を反映して、形を確定しました。

押すと3Dデータを読み込みます(約5MB)。ドラッグで回転、ホイールやピンチで拡大・縮小できます。
斜め前の上から。骨盤の内側に、膀胱(橙)・動脈(赤)・静脈(青)が収まる。
斜め前の上から。骨盤の内側に、膀胱(橙)・動脈(赤)・静脈(青)が収まる。
後ろから。仙骨と第5腰椎、左右の寛骨。
後ろから。仙骨と第5腰椎、左右の寛骨。
06 — 色とデータ形式

色の設定と、データの受け渡し。

フルカラーの3Dプリンターは、形のデータに「この面は何色か」という情報を持たせて出力します。色の持たせ方には、面や頂点に色を直接持たせる方法と、画像を貼りつける方法があり、どちらを読めるかは出力サービスや機種によって違います。

今回の模型は、骨・靭帯・筋肉・動脈・静脈・神経・内臓を塗り分けた、境目のはっきりした配色です。そこで、面ごとに1色を持たせる方法を基本にしました。色の境目がぼやけずに出ます。使った色は197色です。

お渡しするのは、形と色が1つのファイルに入る3MFと、形のファイルに色の画像を添えたOBJ(ZIP)の2種類です。台座は透明な素材で出すため、色を持たないSTLにしています。出力サービスによって受け付ける形式が違うので、どちらでも出せるようにしました。

同じデータでも、読み込む側によって色が縞状に崩れたり、色が消えたりすることがあります。今回もテスト入稿でそれが起きたため、色の持たせ方を変えたデータを複数用意しました。入稿先が決まっている場合は、その規定に合わせて書き出します。

左右にドラッグして、形だけの状態と色をのせた状態を比べられます。
形だけ
色つき
左右にドラッグして、形だけの状態と色をのせた状態を比べられます。
07 — 検査

出力前の検査。

フルカラーの3Dプリントは、1回の出力にかかる費用が大きく、出してから不具合に気づくのは避けたいところです。画面の上できれいに見えていても、そのままでは出力できないことがあります。入稿の前に、出力サービスの基準に照らしてデータを検査しました。

項目見ていることと、その結果判定
立体27のパーツを合体して、穴やすき間のない1つの閉じた立体になっているか。問題なし
肉厚薄すぎて割れやすい箇所がないか(基準1mm)。下回るのは、稜線や先端のごく一部でした。確認済み
サポート材出力時の支えの材料が、取り出せない小部屋に残らないか。1か所を埋めて解消しました。修正
台座食い込みや引っかかりがないか、すき間は足りるか。食い込みはなく、すき間は約0.4mm。問題なし
大きさプリンターで出力できる大きさに収まるか。収まらないため、全体を80%に縮小しました。修正
色出力サービスの側で、色が正しく読み込まれるか。形式を変えた複数のデータを用意しました。対応

大きさの検査では、実寸のままではプリンターで出力できる範囲を超えることが分かり、全体を80%に縮小しました。そのまま縮小すると台座とのすき間も一緒に狭くなるため、縮小後に必要なすき間が残るよう、台座は削り直しています。

出力の費用は、模型の大きさと体積で大きく変わります。本事例でも、費用のご相談を受けて、内臓などを省いて体積を減らした版をあわせて制作しました。

08 — ご相談について

こんなご相談をお受けしています。

  • 説明や研修に使う模型を、必要な部位・大きさ・色分けでつくりたい。
  • 手元にあるのは写真や寸法だけで、3Dデータがない。
  • フルカラーの3Dプリントに出したいが、データの作り方や入稿の決まりが分からない。
  • 模型と同じ形を、説明用の画像や動画にも使いたい。

一度つくった3Dデータは、3Dプリントだけでなく、印刷物やWebに載せる説明用の画像、動画の素材としても使えます。

※ 掲載の画像と動画はすべて、出力用データを3DCGでレンダリングしたものです(出力品の写真ではありません)。

プロジェクト情報
制作物
骨盤の解剖模型(内臓・血管・神経・靭帯つき)と透明台座の、フルカラー3Dプリント用データ
お預かりした資料
写真・全体の寸法
制作内容
3Dモデリング・彩色・台座の設計・出力前の検査・入稿データの書き出し
データの仕様
約89万ポリゴン・1つの閉じた立体・197色/3MF・OBJ(フルカラー)、STL(台座)
出力サイズ
約215×190×249mm(台座込み・80%縮小時)
制作期間
約4週間
参照データ
骨格の土台に Z-Anatomy(CC BY-SA 4.0)
使用ツール
BlenderPlasticity

写真と寸法があれば、ご相談いただけます。

説明用の模型や教材を、必要な部位・大きさ・色分けで。3Dデータの制作から、台座、出力前の検査、出力サービスに合わせた書き出しまで、一貫してお引き受けします。

ほかの制作事例